ティモ・ヴェルナー、進化の兆候と復活の狼煙

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皆さんこんにちは。私です。

なんか最近こんな記事が多いですね。個人フォーカスばっかりですね。許してね。

というわけで本日は我らがヴェルナーさんです。

居場所

ティモ・ヴェルナーが復調の気配を見せている。RBライプツィヒで得点を量産、新たなエース候補としてブルーズに迎えられた背番号11だが、開幕当初に比べてゴールが激減。一時は放出の噂さえ伝えられたドイツ代表だが、ここに来て新境地を開拓しつつある。

リーグ戦はわずか6ゴールと、ブンデスリーガで28ゴールを挙げた男にしては確かに物足りない数字である。そのことはヴェルナー本人が一番理解しているだろう。

しかしここ最近はアシストという別の形でチームへ貢献を見せている。直近のフラム戦でも的確なスルーパスでカイ・ハヴァーツの得点をお膳立て。今季公式戦のアシストを13に伸ばした。

ここまで充実のシーズンを過ごしているとは言い難いヴェルナー。しかし新たな姿で迎える終盤戦、彼の居場所は確かに存在する。

懸念

ヴェルナー獲得時、期待と同様に懸念があったことは事実である。これまでチェルシーで成功してきたFWの多くは、パワーに長け、エリア内で豪快に仕留めるフィジカル型が多かった。「英雄」ディディエ・ドログバをはじめ、直近では「野獣」ジエゴ・コスタもタイトル獲得に多大な貢献を果たした。その一方でスピードや抜け出しを武器にするFWはことごとく苦戦を強いられてきた。「エル・ニーニョ」ことフェルナンド・トーレスはリバプール時代の輝きを失い、アルバロ・モラタは骨と共に自信も埋没させてしまった。
「ヴェルナーはウイングもできるから大丈夫」というのはその不安から目を逸らしたがっていたチェルシーサポーターの願望にも似た分析だったことは否定できない。

気概

コロナ禍での変則日程により、まだライプツィヒがCLを戦っていた中でヴェルナーはチェルシーに合流。早くチームに馴染もうという気概が見えた。ほとんど試合の組めなかったPSMでも得点を奪い、アピールに成功。結果フランク・ランパード前監督は開幕のスタメンに抜擢。初挑戦のリーグはどの選手にとっても難しいが、武器のスピードを生かし、PKを獲得。チェルシーの今季1stゴール、そして初勝利に大きく貢献した。
十分な活躍を見せたヴェルナーだったが、やはり新天地での試合は難しかったと語っている。ブンデスとは異なるフィジカル、パワーでの戦いは彼の想像以上だったと語っている。

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その後第5節で初ゴールを奪うと、7,8節で連発。チームも順調にリーグ戦で白星を重ね、CLも勝ち上がる。ヴェルナー自身の滑り出しも悪くないように思われた。

苦戦

ところが、シーズン前の懸念が的中する。中盤戦からイージーなシュートミスが散見されるようになり、若干の疑問符が付き始める。チームが勝っている間は大きな問題にはならなかったが、徐々に開幕当初の勢いに陰りが見え、敗戦が続いた。決定機を逸する回数の多かったヴェルナーは不調の原因の一人としてやり玉に挙げられることも増えた。直接口説いたというランパードがチームを離れる際には、ヴェルナー自身も責任を口にした。

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同じドイツ出身、さらにはブンデスリーガで競い合ったトーマス・トゥヘル就任でも劇的に事態は好転することはなかった。しかしトゥヘルは対戦相手を見つつ明確なメッセージをもって起用するタイプの監督だ。トゥヘルがチームを把握するにつれて、ヴェルナーのやるべきことも整理されてきた。

武器

さて、ティモ・ヴェルナー最大の特徴は圧倒的なスピードだ。裏に抜ければほとんどのDFは追いつくことができない。そのスピードゆえにウィング起用にも耐えられる(耐えてしまう)。一方で細かい足技やボールコントロールはさほど得意ではない。特に得点から遠ざかり、少なからず自信を失っている状態ではなおさらだったであろう。

プレミアでは大柄なDFを並べ、スペースを埋める戦術をとるチームも少なくない。ヴェルナーにとっては苦手な環境だ。またチェルシーのCFには様々なことが求められる。2列目を生かす動き、前線からの守備、時には相手DFを背負いながらのキープ。様々なタスクをこなすことが必要とされ、それはサイドに張り、足元から作りたがるスピード系にはこれまで荷が重かった。

しかし、ティモ・ヴェルナーは奮闘を続けた。決して得意ではないプレーを求められるシーンは多かったが、自身の出来ることを最大限全うしようとした。ゴールが来ない日々は続いたが、それでも自分の引き出しを増やすことでチームに貢献を果たそうしていた。

余談だが、トゥヘルはもちろん、ランパードもそうした姿勢は認めていたのではないか。「時間が必要」。何度も両指揮官は繰り返した。

報い

チームの一員として、与えられたタスクを全うする。口にするのは簡単だが実際に行うのは難しい。だがヴェルナーは違った。己を律し走った。1stDFとして後半ATまで懸命にボールを追いかけた。190を超えるCBにも果敢に体をぶつけた。自分のシュートだけではなく、味方のシュートを導くためのプレーも増えた。新加入ながらフィジカルコンタクトの多いプレミアでここまで大きな離脱はない。90分走り切れるスタミナも含め、細身ながら根本の屈強さも兼ね備える。

元々才能のある選手だ。実績もある。そんなプレーヤーの努力は少しずつ報われだす。

CLベスト16・1stレグ、アトレティコ・マドリード戦。裏抜けから丁寧に送られたラストパスでハキム・ツィエクのゴールをアシスト。さらにはFA杯準決勝、プレミアを独走するマンチェスターシティに全く同じ形で土をつける。得意の飛び出しと抜群のスピード、そこに新たな武器であるラストパスが加わった。直近のリーグ戦でも同じ形から決定機が生まれている。独力でのフィニッシュだけではない。強豪相手に貴重な勝利を得られたのは、新たな武器を手にしたティモ・ヴェルナーの存在があったからだ。

そして迎えたシックスポインター、ウェストハム戦。勝てばCL権がぐっと近づき、負ければ一気にポールポジションを失う。今季を左右する試合でその瞬間はやってきた。

進化

43分、エンゴロ・カンテのパスを中盤で受けたヴェルナー。背後にピタリと張り付くのは、191㎝の長躯を誇る、CBアンジェロ・オグボンナ。近くにはクリスティアン・プリシッチもサポートに来ていたが、ヴェルナーは力強く反転することを選んだのだ。展開し即座にゴール前へ走りこむ。ベン・チルウェルからの丁寧なボールは、ヴェルナーの実に9試合ぶりのリーグ戦での得点に。そしてプレミアリーグ初の決勝点となった。
重要な試合でのファインゴールも賞賛に値するが、特筆すべきはその前の背負いながらのプレー。これまでチェルシーに在籍した多くのCFが挫折してきたシーンで、前を向けるようになった。そこにはデビュー戦、屈強な相手DFに驚きを口にしていた姿はなかった。肉弾戦を苦としない適応、さらに自身の長所も加え進化を果たした、紛れもないプレミアのCFの姿があった。

(The Independentより)公式戦での得点とアシストは共に二桁

完全復活へ

新たな武器を手にし、居場所を取り戻しつつあるヴェルナー。とはいえ最も求められていることがゴールであるのは、誰よりも本人がよくわかっているだろう。CLのレアル・マドリード戦1stレグでも決定的なシーンを外してしまった。まだまだ得点感覚が戻り切ったとは言えないようだ。

チームは今後、強豪との連戦が待ち構える。CLではほぼ五分の状況でレアルとの再戦、リーグではビッグ6やレスターとのCL権直接対決が控える。あと一つまで来たFA杯を獲得すれば、ヴェルナーに取っては初のタイトルということにもなる。

トンネルはまだ抜けきったわけではないのかもしれない。それでも決して足を止めなかったティモ・ヴェルナーは、新境地を迎えようとしている。
ゴールが多くなくとも、走り続ける選手の元に、必ずボールはやってくる。カンプ・ノウを沈黙させたあの日のように、ティモ・ヴェルナーが歓喜をもたらす日も、そう遠くはない気がするのだ。

~おしまい~

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