※本ブログは2018年7月10日にはてなブログに投稿されたものです
こんにちは。もうW杯以外考えられねえよ!というくらいサッカー漬けの毎日を送っている私です。
さて今この文を書いている段階ではベスト4が出そろい、残すところ準決勝、3位決定戦、そして決勝のみになりました。残ったのはフランス、ベルギー、クロアチア、イングランドと欧州勢のみとなるやや意外な顔ぶれに。
というわけで今回は佳境にさしかかったロシアW杯の激闘を振り返ります。
なお観点は「スペクタクル(派手さ)」、「ドラマチック(劇的さ)」、「タクティクス(チーム力)」、「スター性(個人)」の項目を5点満点で見ていきます。ついでにくっつけたMOMは私の個人的選定です。
ロシアW杯激闘の歴史
1.グループA ロシアvsサウジアラビア 5-0
得点者:ガジンスキー、チェリシェフ×2、ジュバ、ゴロビン/なし
スペクタクル ★★★★
ドラマチック ★
タクティクス ★★
スター性 ★★★
MOM デニス・チェリシェフ(ロシア)
今大会開幕戦がエントリー。ほとんどの試合で得点が生まれるド派手な大会を暗示するかのような祝砲5発を打ち上げ「最弱の開催国」ロシアが最高のスタートダッシュ。
チェリシェフ、アルテム・ジュバ、アレクサンダー・ゴロビン(チェルシー早くしろ)らニューヒーローも登場し、開催国を勢いに乗せた。大観衆の後押しと勢いでロシア代表が2010年W杯王者を飲み込むのはこの数日後のことである。

ロシアの“新皇帝”とも評されるゴロビン
2.グループB スペインvsポルトガル 3-3
得点者:ジエゴ・コスタ×2、ナチョ/クリスティアーノ・ロナウド×3
スペクタクル ★★★★★
ドラマチック ★★★★★
タクティクス ★★★
スター性 ★★★★★
MOM クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)
今大会最初にして最大のビッグマッチは期待を裏切らない歴史的好ゲーム。まさに「原点にして頂点」。
ロナウドのPKで波乱の幕開けを果たすとスペインもジエゴ・コスタが圧巻のフィジカルでペペを粉砕。その後両エースが1点ずつ取り合うと、PKを与えたナチョ・フェルナンデスの大会ベストクラスのゴラッソでスペインが逆転。このまま終了かと思われた88分、ゴール前でのFKに立つのはCR7。ダビド・デ・ヘアすら観客に変える見事な放物線はハットトリックとなる起死回生の同点弾。
MOMは”主人公”以外にあるまい。

直接FKを決める直前のCR7。何というオーラ
3.グループF ドイツvsメキシコ 0-1
得点者:なし/ロサーノ
スペクタクル ★★★
ドラマチック ★★★★
タクティクス ★★★★★
スター性 ★★
MOM イルビング・ロサーノ(メキシコ)
2014年王者にして優勝候補筆頭の呼び声も高かったドイツをまさに「崩壊」させたのがオソリオ監督率いるメキシコ。綿密な分析と周到な準備、そしてそれを可能にする選手マネジメント(さらに例のプール練習)まで含めてヨアヒム・レーヴの一枚上をいった。個人能力では劣りながらも職人ぞろいのチームをまとめて(そして弱点を他チームに教えて)結局王者は予選敗退。
何度もドイツを切り裂くカウンターを見せた攻撃陣はもちろん、4年に1度現れる伝説のGKギジェルモ・オチョアを中心にした守備陣の頑張りにも拍手。

先制点に繋がるメキシコのカウンター。チチャリートのポストプレーと大きく空いた右サイドに注目。
4.グループE ブラジルvsコスタリカ 2-0
得点者:コウチーニョ、ネイマール/なし
MOM ケイラー・ナバス(コスタリカ)
スペクタクル ★★★
ドラマチック ★★★★
タクティクス ★★
スター性 ★★★★
攻める王国に立ちはだかるナバスという構図が明確になったこの試合。全員が体を投げ出しシュートコースをふさぎ最後はレアルマドリードの正守護神が防ぎまくる。これぞコスタリカという闘いに手を焼くブラジルだったが土壇場で今大会ブラジルを支えたコウチーニョが破ると、直後にはようやくエース・ネイマールもゴール。
余談ではあるが今大会VARによって取り消された唯一のPK(多分)が生まれたのもこの試合。試合後目頭を押さえたセレソンのエースには「VARで確認しろ」との声もあがった。

立ち塞がるナバスに焦ったかエリア内で大袈裟に倒れるネイマール
5.グループE セルビアvsスイス 1-2
得点者:ミトロビッチ/ジャカ、シャキリ
スペクタクル ★★★
ドラマチック ★★★★
タクティクス ★★
スター性 ★★★★
MOM ジェルダン・シャキリ(スイス)
※政治色が強すぎてレビュー不可

物議を醸したジャカとシャキリのゴールパフォーマンス。このアルバニア国旗を模したとされる。
6.グループF ドイツvsスウェーデン 2-1
得点者:ロイス、クロース/トイボネン
スペクタクル ★★★
ドラマチック ★★★★★
タクティクス ★★★
スター性 ★★★★
MOM トニ・クロース(ドイツ)
負ければ終わりのドイツだったが、前半のうちにセバスティアン・ルディが負傷交代と不穏な空気が漂う。すると直後にトニ・クロースのミスからオラ・トイボネンのシュートがアントニオ・リュディガーをかすめてゴールイン。運にも見放されなれたが、後半早々のマルコ・ロイスのゴールで息を吹き返す。
いけるぞ、という雰囲気をしぼませたのは精彩を欠き続けていたジェローム・ボアテング。無駄な退場で万事休す。しかし2014年覇者を救ったのは先制点を献上したクロース。ラストプレーで伝家の宝刀の右足を強振。まさに「吸い込まれる」見事な弾道でチームを救った。
ちなみに今大会GS敗退したドイツが唯一リードしていた時間がこの数分(数秒?)である。

今大会精彩を欠いたボアテング。第3戦はスタンド観戦で敗れるチームの力になれず。
7.GS グループH 日本vsセネガル 2-2
得点者:乾、本田/マネ、ワゲ
スペクタクル ★★★★
ドラマチック ★★★★
タクティクス ★★★
スター性 ★★★★
MOM 乾貴士(日本)
初戦で格上を破り今節勝てばGS突破の両チームは攻守の入れ替えの早い魅力的な展開に。川島永嗣のミスから10番サディオ・マネのゴールでセネガルが先行も、乾貴士のビューティフルショットで日本が追い付く。それでもセネガルは19歳、ムサ・ワゲが強烈なシュートを打ち込み、日本を突き放す。
苦しい日本を救ったのはやはりこの男、本田圭佑。4年越しの左足。3大会連続でアフリカ勢にその名刀を突き立てた。
ちなみに今大会屈指の人気監督(かつ吹奏楽部の顧問)になったセネガルのシセ監督との対決でも注目を集めた。

同点ゴールをあげた日本の“金狼”。岡崎慎司の潰れも見事。
8.グループB イランvsポルトガル 1-1
得点者:カリム・アンサリファルド/リカルド・クアレスマ
スペクタクル ★★★
ドラマチック ★★★★★
タクティクス ★★★
スター性 ★★
MOM リカルド・クアレスマ(ポルトガル)
悲喜こもごものスリリングなGS最終節を最も味合わせてくれたのがこのグループB。勝てば逆転のイラン、1位通過したいポルトガル。同時刻に行われたスペインvsモロッコも予想以上のモロッコの奮戦で、最後の1分まで突破チームがわからない展開に。
「アウトサイドの魔術師」にその代名詞を決められながらもロナウドのPKをストップしたイランは土壇場で追い付く。だが直後、最後の最後に訪れた決定機は無情にも外側のサイドネットを揺らすのみにとどまった。「アジア最強」の看板を掲げて臨んだイラン。欧州王者をも苦しめて得た勝点4を手に、堂々と大会を去った。

94分、イランのタレミが放ったシュートはわずかに枠を外れた。
9.GS グループD ナイジェリアvsアルゼンチン 1-2
得点者:モーゼス/メッシ、ロホ
スペクタクル ★★★
ドラマチック ★★★★★
タクティクス ★★
スター性 ★★★★
MOM マルコス・ロホ(アルゼンチン)
南米予選同様崖っぷちに追い込まれた前回準優勝国。クロアチアに完敗し、ホルヘ・サンパオリ監督や”メッシ頼み”の個人戦術に批判が集まった。
しかしそんなチームを救うのもやはりリオネル・メッシ。華麗なトラップから先制点をあげ再び英雄になるかと思われた。立ちふさがったのは(チェルシーの)エース、ビクター・モーゼス。「誰だお前」と誰もが思った落ち着き払ったPKでナイジェリアがGS突破に王手。メッシも封じられこれまでかと思われたアルヘンを救ったのはまさかのマルコス・ロホ。CBの位置から上がってきたロホの右足ボレーで、世界最高のプレーヤー最後の夢は続くのであった。
ちなみにではあるがナイジェリアは”因縁の相手”にまたも敗戦。前世で何をしたのだろうか。

先制点に昇天するディエゴ・マラドーナも話題に。
10.GS グループC デンマークvsフランス 0-0
得点者:なし/なし
スペクタクル
ドラマチック
タクティクス
スター性
MOM 観客
今大会唯一のスコアレスドロー。談合はしょうがないけど金返せと思われるのもしょうがない。
11.決勝T ラウンド16 フランスvsアルゼンチン 4-3
得点者:グリーズマン、パヴァ―ル、エムバペ×2/ディ・マリア、メルカド、アグエロ
スペクタクル ★★★★★
ドラマチック ★★★
タクティクス ★★★
スター性 ★★★★★
MOM キリアン・エムバペ(フランス)
決勝T開幕を告げる壮絶な打ち合いはフランスが制した。メッシより輝いたのがフランスの10番、キリアン・エムバペ(もう名前は知らねえ)。圧巻のスピードで2G1PK獲得と、次世代の大きな足音をメッシの前で高らかに鳴り響かせた。また大会屈指のゴラッソ祭りでもあり、アンヘル・ディ・マリアとバンジャミン・パヴァールのゴールは必見。
とはいえ徹底マークされながらも2Aを記録したメッシもさすがと言わざるを得ない。93分にセルヒオ・アグエロに届けた美しいクロスが彼のW杯最後の煌めきになるのだろうか。

世代交代を予感させたエムバペ。いやムバッペか。いやエン…
12.決勝T ラウンド16 スペインvsロシア 1-1 PK(3-4)
得点者:オウンゴール/ジュバ
スペクタクル ★★★
ドラマチック ★★★★
タクティクス ★★★★
スター性 ★★
MOM イゴール・アキンフェーフ(ロシア)
大声援を受ける開催国相手にお馴染みのティキ・タカを見せつけるスペイン。幸先よく先制し一方的な流れになるかと思いきやバランスを崩させる前にジェラール・ピケがあまりにも不用意なPK献上。なぜバルセロナのDFはすぐに手を挙げるのだろうか。特に今大会はVARのおかげかPKが続出しているというのに・・・。
しかしその後のロシアの走力と集中力は感嘆の一言。体を張りPK戦までこぎつけ最後はアキンフェーフが好セーブを連発し無敵艦隊を撃沈。それにしてもゴロビンらロシアの選手の走力はどうなっているのか。まるでドーp・・・。おっと誰か来たようだ。

(ウィキペディアより)この人も大喜びに違いない
13.決勝T ラウンド16 ベルギーvs日本 3-2
得点者:ヴェルトンゲン、フェライニ、シャドリ/原口元気、乾貴士
スペクタクル ★★★★★
ドラマチック ★★★★★
タクティクス ★★★
スター性 ★★★
MOM 田嶋辞めろ(関係ない
様々なサプライズがあった今大会だが日本が大会屈指の名勝負製造機になったことは十分その一つに数えられてしかるべきだろう。世界最高峰のタレント集団相手に一歩も引かず一時は2点をリードした。しかしその後は自力と高さで優るベルギーが逆襲。最後は超速カウンターを浴び「2-0は危険なスコア」という(日本限定の)伝統を体現してしまった。
しかし最後まで勝利を信じ戦ったサムライは評価されるべきであり、大会前のゴタゴタを踏まえればなおさらである。揶揄でなく”卒業旅行”を終えた試合後の長友佑都の晴れやかな表情は印象に残った。

わずかにシャドリに届かなかった昌子源。4年後は中核としてリベンジしてもらいたい。
14.決勝T 準々決勝 ロシアvsクロアチア 2-2 PK(3-4)
得点者:チェリシェフ、フェルナンデス/クラマリッチ、ビダ
スペクタクル ★★★★
ドラマチック ★★★★★
タクティクス ★★★
スター性 ★★★
MOM ダニエル・スバシッチ(クロアチア)
お互い120分+PK戦を勝ち抜いてやってきたベスト8。クロアチアに(なぜかロシアは大丈夫)ケガ人が続出し、まさに死闘となった。デニス・チェリシェフの鮮やかなミドルシュートを即座にアンドレイ・クラマリッチが返すと試合はそのまま延長に。満身創痍のクロアチアがビダのゴールで抜けたかと思いきや、終了間際に決めたのはセレソンではなくロシア代表を選んだマリオ・フェルナンデス。
ハムストリングの負傷をこらえながらとなったダニエル・スバシッチとアキンフェーフの名手対決は同点弾のフェルナンデスが外して勝負あり。開催国の夢はベスト8で終わったが、勇敢な戦いを見せた赤い戦士達には万雷の拍手が送られた。

堅守を支えたアキンフェーフをはじめ、全力を出し切った自国代表を讃えるサポーター。
最後に
いかがだったでしょうか。ここには載っていない好ゲームもたくさんありますね。
残すところあと4試合、これらを上回る名勝負は生まれるのでしょうか?大いに期待しましょう。
そしてチェルシーに新監督は生まれるのでしょうか🙄🙄
〜おしまい〜
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