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マテオ・コバチッチ –鍵を握る「1年限りの天才」

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こんにちは。すっかり暖かくなってきましたね。気温が上がる一方で更新頻度は下がる一方です。チェルシーの調子は相変わらずの乱気流(ちょっと上向いてきた?)という感じですね。

さて今日のフォーカスはタイトルの通りです。最近よく質問箱に来るなあというのとシーズン終盤になるに従って、考えなくてはいけないなあということですね

それでは!

最も巧い選手

チェルシーで最も上手い選手は誰だろうか。10番のエデン・アザールか。攻守に存在感を見せるエンゴロ・カンテか。あるいは強心臓で後方からのビルドアップを支えるケパ・アリサバラガという回答も認められるかもしれない。

しかしこと足元の技術に関してはこの回答が加わるはずだ。「いや、マテオ・コバチッチだろう」。サポーターの中でこのクロアチア代表の名が出ないことは考えられない

「mateo kovacic」の画像検索結果
(The Timesより)最後は練習拒否までしてチェルシーへの移籍を果たした

1年間のレンタル移籍

マテオ・コバチッチがチェルシーに加わったのは18-19シーズンの移籍市場終盤だった。8月8日にチェルシーは、ティボー・クルトワの後釜として102億もの大金でケパ・アリサバラガを獲得。チームは補強を終えるのではという見方もあった。

ところが9日になりチェルシーは最後の新戦力のレンタル加入を発表。それがコバチッチだった。新監督となったマウリシオ・サッリがMFを望んでいたらしいが、中盤にはロス・バークリーとクリスタルパレスより復帰したルベン・ロフタス・チークがおり、人員過剰とは言わないまでも最優先の補強ポイントではないようにも思われた。
実際開幕節ではロス・バークリーが先発し、得点に絡んでいる。

しかしチームになじむにつれ徐々にその真価を発揮する。左サイドを主戦場にするエース、アザールに勝るとも劣らない技術を見せ、卓越した連携を披露。序盤の快進撃を牽引した。

一時はバークリーにスタメンを譲る、あるいはロフタス・チークが印象的なパフェ―マンスを披露することもあった。しかし両者のケガを含めた浮き沈みの激しいパフォーマンスと対比し、平均点の高いプレーと継続性からサッリの信頼を最も勝ち取ったIHと見て良いだろう

さらにジョルジーニョの控えであったセスク・ファブレガス(現モナコ)が退団したことで、アンカーとしてのプレーにも適応。いよいよ欠かせないピースになっている。

来季の去就が最も不明瞭なMFではあるものの、現中盤で最も貢献度の高い選手の一人である。

プレーの真髄

コバチッチが最もその才を発揮し差異を生める役割は、前線へ的確にパスを送るリンクマンとなった時である。また単なるパサーではなく、囲まれても奪われないキープ力やスイスイと運ぶドリブルも標準装備しているため守備側にとっては警戒すべき対象が多い。日本で言えば香川真司の同系統、あるいは少しポジションやボールを受ける位置が下がったタイプと認識してもらうとわかりやすいか。

また176㎝、77㎏と大柄とは言い難いが、身体もなかなか強い。その足元の技術とも相まって、彼からボールを奪うのは至難の業だ。
それが最も効果的に発揮されたのが今季マンチェスターシティにはじめて土をつけた一戦。猛烈なプレスに思うように味方が繋げない中で、唯一時間を作りボールをキープしたことが、チームの体力と気力の柱となった。

さらに意外なのは守備強度の高さだ。決して本職ではないながらも、敵の足元に鋭いタックルを仕掛け、速攻を未然に防ぐシーンも少なくない。純粋なフィジカルに加え、クレバーな読みもうかがえ、ポゼッションの天敵であるカウンター対策としても重要な役割を担う。

クロアチア代表ではレアル・マドリードの先輩であり、ライバルでもあるルカ・モドリッチや、バルセロナの司令塔イヴァン・ラキティッチ、過去に所属していたインテルでレギュラーのマルセロ・ブロゾヴィッチの壁が厚く、準優勝ながらW杯での出場時間は限られていた。
しかしそれにより消耗自体は少なく、すぐにチームの練習に参加できたのはチェルシーにとってはプラスに働いただろう。
24歳のコバチッチ自身も、既に30を過ぎた先述の偉大な面々から引き継がなければいけない立場であり、すぐに代表では定位置をつかむだろう。

弱点

クロアチア系移民の両親の元、オーストリアのクラブでサッカーを始めたコバチッチ。その後クロアチアのディナモ・ザグレブに移籍し、クロアチア1部リーグ史上最年少出場と最年少ゴールの記録を更新する。
世界に名が知れるようになったのは2013年。イタリアの名門、インテルに加入。背番号はレジェンド、ウェズレイ・スナイデルの纏った10を託された。その後モドリッチの推薦もありレアル・マドリードで3シーズンを過ごし、ロンドンへとやってくる。

そのコバチッチの弱点はやはり得点力といわねばならない。インテル時代の前任者やレアルでの先輩に比べればやはり見劣りする。チェルシーでも一時バークリーがレギュラーになったのも彼の方が得点力に期待が持てるから(実際に得点していた)ではないかという推察は見られる。

ポゼッションサッカーの対策としてはパスコースをふさぐコンパクトな守備は有効な手の一つだが、ミドルシュートや中盤からの飛び出しはさらにそれに対する一手だ。リンクマンとしては優秀なコバチッチだが、この点に関しては及第点はあげづらい。
もちろんチェルシーが左に攻撃の起点を置いており、リスクマネジメントをしている部分はあるのだろうが、ここまで全コンペティションで得点がないのはさすがに寂しい。また本人も自身の改善点とコメントしている。

「mateo kovacic barkley」の画像検索結果
(The Sunより)バークリーと入れ替わることも多い

去就

現在のチェルシーにおいて重要な役割を担うコバチッチ。出すことは多くあっても、獲得する方ではあまりなかったレンタルを活用しての獲得だったことはチェルシー側の予算面の問題を感じさせる一方で、買取オプションの有無が明らかにされなかったことは白い巨人の高い評価も滲ませる、という結論が夏の主流だった。成長してもらいたいが、手放す気はない、と。

ところがシーズンが進むにしたがってチェルシーもレアル・マドリードも大きく状況が変わった。チェルシーは規約違反で来夏の補強禁止の可能性が浮上し、マドリーは低迷の余波でジダン復帰を決断した。

当然ながら第1期ジダン体制での出場機会に不満を持っていた結果が今である。またソースの信憑性は怪しいが、ジダン自身も来季の構想にコバチッチを入れていないこと、また買取オプションが62億円であることなど、具体的な話が出てきた。

まだ未確定要素が多く、正確には断言できないが、今のままならこの圧倒的才覚の持ち主は、新たなチームのCFに的確なパスを通すことになるだろう。

とはいえチェルシーもCAS(スポーツ仲介裁判所)への持ち込みを含めた処分の引き延ばしを検討している。かつてバルセロナはこれにより1年間粘り、その間にルイス・スアレス、ラキティッチ、マルク・アンドレ・テア・シュテーゲンらを補強した。
チェルシーとしてもこうした事例を持ち出し、1年の猶予を得たい考えだ。そうなれば来夏の大量補強は間違いなく、コバチッチも素早く登録されるだろう。

「イメージができている」と自身が語るように、これからもスタンフォードブリッジでコバチッチを見られるかは今後の”外交”に依るところが大きそうだ。

最後に

正直に言ってしまうと、このままいけばコバチッチが1年限りのプレーヤーになる可能性は極めて高い。62億という数字がどこまで信用できるかはわからないが、マドリー時代では時間的に見せられなかったその技術を十分にチェルシーでは見せつけている。超法外な金額でもないため、ビッグクラブが熱視線を送るのは間違いなく、実際トッテナムの名前が挙がっている。

しかし仮に禁止処分が延長されれば来夏の補強第1号となりうるのはおそらく間違いないだろう。そして再来季までも含めた大型補強を敢行するのであれば、CL権は不可欠。そのためには今いる戦力でやるしかない。
少なくともマテオ・コバチッチが青いユニフォームでスコアボードに名を刻まないまま去ることはあってはならない。

残り10節を切り、ELも佳境に入った。1年限定の天才が握るカギ、それが開く扉の向こうは、決して短くなどない、チェルシーの未来である。

~おしまい~







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